ドラムセットと同じように、立体的に配置できる練習台や、電子ドラム等を使って練習する人も多いようですが、これも、かえって下手になりかねない危険をはらんでいます。
「本物のドラムセットは家に置けないから、せめて…」という理由で購入する人が多いようですが、少なくとも2つの点で注意が必要です。
第一に、家の練習台や電子ドラムと、スタジオ練習やライブの本番で使うドラムセットとでは、絶対にセッティングの位置が違うという事です。
「自分には非常に優秀なボーヤがいて、いつ、いかなる場所でも、完璧に好みのセッティングを再現してくれる」という人は別として、普通のアマチュアドラマーが実際に使うセットは、スタジオやライブハウスに置いてある物か、対バンが持ち込んだ物が、ほとんどじゃないですか?
そして、時間の問題や、セット自体の問題(ホルダーのネジが壊れているとか)のために、たいていの場合、自分の納得するセッティングには出来ないはずです。
そんな時、いつも同じ位置にセッティングされた練習台を使っている時間が、長ければ長いほど、実際のドラムセットとの、配置の違いに悩む事になってしまいます。
悩まないためには、練習台や電子ドラムのセッティングを、しょっちゅう変え続ける必要があるわけですが、そんなメンドーなこと、誰もやらないですよね?(苦笑)
第二は、打面の張力の問題です。本物のドラムセットには、少なくとも3種類の張力を持った打面があります。
ライドシンバルや閉じたハイハット等の、スティックが「非常によくハネ返る」打面、そこそこハネ返るスネアやハイピッチのタム、そして、ほとんどハネ返らない、フロアタム類です。
「自分には非常に優秀…以下略…」な人は別として、普通は、大事なライブの本番で使うセットは、ライブハウスや対バンの物で、自分の好みのチューニング(打面の張力)には、出来ない場合がほとんどではないですか?
練習台や電子ドラムでの練習は、やればやるほど、それらの打面の張力だけに手を慣れさせてしまい、かえって、いろいろな張力に対する「適応力」を衰えさせてしまう危険性が高いのです。
「そんなこと言ったって、家で本物のドラムセットなんか叩けねえよ!」とお怒りの方、まあまあ、落ち着いて(^^;;;
発想を変えて、どんなセッティングに対しても、また、どんな張力の打面に対しても、柔軟に対応できるようになるための練習をしてみたら、どうでしょう?
要するに、なんでもかんでも、目に付いたものをスティックで叩きまくれば良いのです。…いや、冗談抜きで。
バディ・リッチみたいに、バスドラムやドラムイスを叩いたり、シンバルを上からでも下からでも同じように叩ける、本当の意味で「自由自在」なスティックワークを身に付けるためには、そういう練習をするしかないと思います。
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