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★ 超人ドラマー:マイルスの頃のトニー


初めてトニー・ウイリアムスの名を知ったのは、ジミー竹内先生の教則本(*1)からでした。それで、すぐにレコードを探して、V.S.O.P.の『ライブ・アンダー・ザ・スカイ』を買ったんですが、どこが凄いのか、良く分かりませんでした(苦笑)。

いや、僕は晩年のトニーも嫌いじゃないし、『ニューヨークライブ』での、ブレイクの部分で「ライドをミュートするだけ」(*2)という手法なんかは、目からウロコで「カ、カッコイイ…」と思っちゃいましたが、マイルス・デイビスと演っていた頃の、特に、映像を見てしまうと、もう完全にノックアウトされちゃいます。



*1 『ジャズ・ドラム・ソロ集』という教則本でトニーは「今世紀最大の名ドラマー」と紹介されていました。



*2 ジャズの場合、曲中はシンバルレガートのサスティン音がずっと鳴り続けているので、それをミュートするだけで、見事にブレイク(無音)になるのです。
Drummerworldに動画がありました


他にも選択肢はあるでしょうけど、マイルスの頃のトニーを観るのにまずオススメなのが、DVD『Legends of Jazz Drumming 1 & 2 』です。ジャズ史上に輝く名ドラマー達の中でも、いかにトニーが傑出したドラマーなのかが良く分かります。(トニーはビデオのトリを飾ってます)

この頃は、まだクレジットが「アンソニー・ウイリアム」だったトニーですが、なにしろ若い!16か17才? まだ顔がツルツルな、完全な「お子様」なのに、なんなの、この上手さ…。

「天才少年」なんていうレベルじゃないですよ。あまりにも上手すぎる! こんな演奏、他の誰も出来ないでしょ…。

なるほど、マイルスがトニーを選んだわけだ…と、非常に納得してしまいました。誰より速くて上手かったドラマーが、たまたま少年だった…というだけなんですね。この頃のトニーは本当に「天才」としか言いようがありません。

CD『フォア・アンド・モア』なんかでも聴けますが、300BPMオーバーのテンポで、こんなシンバルレガートが出来るドラマーを、他に聴いたことがありません。

トニー独特の、音符を全くハネさせないのにスイングするレガートは、素晴らしく軽やかで、かつ、落ち着いていて「苦労している感」が全く無い。信じられません!

音だけでも驚異なのに、映像を観たら、さらに唖然です。このスピードで、こんなにスティックが返ってたなんて…。

とにかく、マイルスと演っていた頃のトニーに関しては、冷静な分析が出来ません。ただただ、唖然とするばかりです。

ビデオをスローにして何度も見返して、ようやく、トニー流シンバルレガートの「やり方」は分かりました。あの「5連打」のやり方も分かりました。でも、あの速さには、到底届きません。


バディ・リッチの場合、瞬間的には、まだなんとか近づけそうな感じがありますが、マイルスの頃のトニーには、近寄ることすら出来ません。まるで宇宙人を見ているような感じです。(*3)

よく、ドラマー仲間では「晩年のトニーは、別人だよね」「きっと、誰かがトニーの皮をかぶってるんだよ、入れ替わってるんだよ」…というような、タチの悪い冗談が交わされることがあるんですが、冗談ぬきで、なぜ、トニー・ウイリアムスが、あんなに演奏スタイルを変えてしまったのかは、ドラム史上の大きなミステリーだと思います。




*3 バディ・リッチが234BPMでやっているフレーズを、220ならば僕でも出来ます。
 しかし、トニーが380BPMで楽々とやっている「5連打」は、3年以上練習を続けても、300がやっとという状態です。
(※筆者の「トニーの5連打」再現動画


もし、晩年のトニーの演奏しか知らなくて、「トニー・ウイリアムスがスゴイ、スゴイってよく言われてるけど、そんなにスゴイかなあ?」とか思っている人がいたら、ぜひ、“マイルスの頃のトニー”の映像を探して観て下さい。

観ればスゴサは瞬間で分かります。しつこいようですが、ドラマーならば、マイルスの頃のトニーの演奏は、絶対に聴いて、観ておくべきものです。

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DRUMMERWORLDこちらのページ
でマイルスの頃のトニーの演奏映像を見る事が出来ます。Miles Davisの名前が入っているものを選んで見てみて下さい。
 初々しい少年トニーが、ジャズ界屈指の大物達を「煽っている」姿に唖然です…。



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