他にも選択肢はあるでしょうけど、マイルスの頃のトニーを観るのにまずオススメなのが、DVD『Legends of Jazz Drumming 1 & 2 』です。ジャズ史上に輝く名ドラマー達の中でも、いかにトニーが傑出したドラマーなのかが良く分かります。(トニーはビデオのトリを飾ってます)
この頃は、まだクレジットが「アンソニー・ウイリアム」だったトニーですが、なにしろ若い!16か17才? まだ顔がツルツルな、完全な「お子様」なのに、なんなの、この上手さ…。
「天才少年」なんていうレベルじゃないですよ。あまりにも上手すぎる! こんな演奏、他の誰も出来ないでしょ…。
なるほど、マイルスがトニーを選んだわけだ…と、非常に納得してしまいました。誰より速くて上手かったドラマーが、たまたま少年だった…というだけなんですね。この頃のトニーは本当に「天才」としか言いようがありません。
CD『フォア・アンド・モア』なんかでも聴けますが、300BPMオーバーのテンポで、こんなシンバルレガートが出来るドラマーを、他に聴いたことがありません。
トニー独特の、音符を全くハネさせないのにスイングするレガートは、素晴らしく軽やかで、かつ、落ち着いていて「苦労している感」が全く無い。信じられません!
音だけでも驚異なのに、映像を観たら、さらに唖然です。このスピードで、こんなにスティックが返ってたなんて…。
とにかく、マイルスと演っていた頃のトニーに関しては、冷静な分析が出来ません。ただただ、唖然とするばかりです。
ビデオをスローにして何度も見返して、ようやく、トニー流シンバルレガートの「やり方」は分かりました。あの「5連打」のやり方も分かりました。でも、あの速さには、到底届きません。
|