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★ 続:こんな練習、やっちゃダメ!


ドラムが上手くなるためには、練習は絶対に必要です。(*1)

でも、やみくもに練習すれば良いというものではありません。「無駄のない、効率的な練習」をする事が大切です。

そのためには、「無駄の多い、非効率的な練習」が、どういうものなのかを知るのが早道です。

「結構練習しているつもりなんだけど、上手くならないなあ」という方は、もしかして、こんな練習をしちゃってませんか?


*1 練習しなくても、「そこを変えるだけで上手くなる」方法も無くはないです(^^;。機会があれば、いずれ紹介します。


「最悪な練習法」=痛みを我慢して練習を続ける


これは本当に最悪な練習法です。今すぐやめて、2度としないで下さい。取り返しのつかない事になりかねません。

日本では、これをやってしまったために、毎年、何人もの有望なドラマー達が身体を壊しています。しかも、二度とドラムを叩けなくなってしまう人も少なくないのです。(*2)

ここで、なぜ「日本では」と書くのかという疑問を持つ方もいると思いますが、日本人は少々「我慢強すぎる」のです。

なにしろ、「過労死」するまで働いてしまう人が、少なくない社会です。身体が悲鳴を上げていても無理を続けるという事に、あまり抵抗がない文化なのです。

その上「練習中に多少の痛みを感じても、そのまま頑張って練習する事が大事」なんて事が、あちこちに、無責任に書いてあったりします。

ハッキリ断言しますが、その考え方は間違いです。基本的に「痛み」というのは、身体からの「最終警告」だからです。

痛みの前には必ず「違和感」や「張り」「熱を持った感じ」等の危険信号があり、最後に「痛み」が来るのです。

「痛みを感じながらでも練習を続けなさい」というのは、「身体を壊しなさい」と言っているのと同じ、大変な暴論です。

練習中に痛みを感じたら、すぐ練習を中止し、練習法、あるいは身体の使い方を、考え直す必要があります。

もちろん、医師に相談する事も大切です。







*2 根拠もなく、大げさに言っているわけではありません。複数の生徒さんから「実は知り合いに…」と実際に聞いてます。


「過ぎたるは及ばざるが如し」=長時間の反復練習


リズムパターンというのは、繰り返し、つまり反復ですから、ドラムの練習は、基本的に反復練習になります。

しかし、反復練習は、長くやれば良いというものではありません。ここを誤解している方が、非常に多いです。

たとえば、こういう経験はありませんか?

1.身に付けたいパターンやフレーズを、反復練習する
           ↓
2.やがて、良い感じに出来るようになって来る
           ↓
3.よし、もっと完璧にしよう…と、さらに続ける
           ↓
4.しばらくすると、なぜか、上手く行かなくなってしまう
           ↓
5.もう一度良い感じにしようと、さらに続ける
           ↓
6.たが、ついに、良い感じは戻って来ない
           ↓
7.仕方なく、その日は諦めて、練習をやめる

多くの人が、こういう経験をしているはずです。

これこそが、反復練習を長時間やりすぎた時に現れる、典型的な症状なんです。

そして、これを繰り返すと「練習すると、途中までは良いが、最後はダメになってしまう」という事が学習され続け、練習すればするほど、モチベーションが下がってしまいます。

これでは、練習の意味がありません。練習しても上手くならない、出来るようにならないのですから、やがては、練習そのものが嫌になり、苦痛になってしまうでしょう。

しかし、なぜ、こうなってしまうのでしょうか?

そこが分からないと、嫌だ嫌だと思いながらも、「上達できない練習」を続ける事になってしまいます。

実は、長時間の反復練習がダメな理由は、脳が「単調な作業が長く続く事に耐えられない」からなんです。

論より証拠。実験してみましょう。

ここから下に書かれている文字を、どんなにつらくても、一文字ずつ、きちんと最後まで読んで下さい。眺めるだけではなく、ちゃんと読んで下さいね。では、始めますよ!

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

を  を  を  を  を  を  を  を  を  を  を

どうですか? 最初は、ちゃんと文字として見えていたのが、途中から「ち」と「と」の合体したものに見えたり、変な記号や図形のように見えて来たのではないですか?

これこそが、脳が「単調な作業を嫌がっている」証拠です。脳は「を」という形を、文字として解釈し続けるのが苦痛なので、勝手に「別の意味」を探し始めてしまうのです。

つまり、同じリズムパターンやフレーズが長時間続くと、脳は、同じ手足の動きや重心移動の制御を続けるのが苦痛なので、勝手に違う命令を出し始めてしまうのです。

せっかく上手く行っていたのが、途中でおかしくなってしまうのは、このせいだったんです!

では、どうすれば良いのでしょうか? 簡単に結論から言えば、「完璧にしよう」と思わない事です。

「良い感じになって来た」段階、70〜80点で良しとして、次のテンポに変えたり、フレーズの一部を変える等して、脳が飽きないように工夫する事です。



「練習になってません!」=手元やスティックを見ずに練習


リズムパターンであれ、フィルであれ、ロールであれ、練習しながらボーっと宙を見ている生徒さんが大変多くて驚きます。

これは大変に損な練習法です。というより、それでは、練習になっていません。

絵を描く時、手元を見ずに描いて、まともな絵が描けますか? PCキーボードの配列を覚えていない人が、手元を見ないで打って、まともな文章が打てますか?

確かに、あなたの尊敬するドラマーは、手元を見ないで超絶演奏をしているかも知れませんが、達人のやっている事を、すぐに真似出来るわけないと思いませんか?(^^;

まだまだ発展途上の人なら、練習の時には、耳だけでなく、目も使って、身体の動きを確認しなければ、とうてい上手くはなれません。

手元を見て、指や手首の動きをチェックし、移動の時は、叩く場所をしっかり確認し、時々は、鏡やビデオも使って、ヒジや肩、脚や胴体等、全身の動きをチェックしましょう。



「お金と体力の無駄です」=スタジオでの長時間練習


これも、やっちゃってる人、多いんじゃないでしょうか?

結論から言うと、長くても3時間以内にして、しかも、必ず休憩の時間を取った方が良いです。

オールナイトパック6時間とかは、絶対にやめて下さい。

なぜかというと、第一に「ドラムの音が大きすぎる」からです。

なにしろ、スネアドラムや、シンバルという楽器は、生楽器の中では、最も大音量が出せるものです。

セットドラマーは、その大音量を、わずか1メートル足らずの距離で、ずっと聴き続けなければなりません。

それほどの大音量を聴き続ければ、当然、耳が疲れるわけですが、同時に、音の情報を受け取り続ける「脳」も、どんどん疲れて行ってしまいます。

実際に、長時間の練習をされた方なら、分かると思いますが、だいたい3時間を越えると「頭がボーっと」して、正常な判断力が失われて来ます。

その状態で練習を続けても、良い結果は得られません。

なぜ、ドラムだけが「練習台」を使うのかの理由も、実はここにあります。

「常に生ドラムを使って練習するのが最高」だと思っている人が大変多いですが、それは間違いです。

実際には、上手くなればなるほど、練習台を使う割合が増えて行きます。「生ドラムでは不可能な状況」を設定して練習するために、練習台が必要なのです。

事実、バディ・リッチは、家にドラムセットを置かなかったそうですが、その代わり、どこに行くにも、常に複数の練習台を持ち歩き、ホテルの部屋や楽屋で練習していました。



「上達しない最大の原因」=スティックを持った時しか練習しない


「え?なんで?」と思った人が少なくないでしょうが、ドラムが上手くならない最大の原因は、これだと、僕は思います。

ハッキリ言って、普通に学生や社会人をやっている人が、「スティックを持った時しか練習しない」のでは、練習時間が全然足りないのです。

「そんな事言ったって、忙しくて練習時間が取れねんだよ!」とお怒りの貴方、まあまあ、落ち着いて(^^;

スティックを持たなくても、いつでも、どこでも、ちょっとの時間が空いたら、練習できる方法があるんです!

考えてみて下さい。ドラムという楽器は、演奏の大部分が、手足4本を「順番どおりに動かす」という作業です。

そして、この「手足を順番どおりに動かす」部分だけなら、練習するのに、スティックもペダルも必要ありません。

一日の中には、様々な「待ち時間」「空白の時間」があります。仕事の最中にだって、必ずあるはずです。

その、わずかな時間を逃さずに、手足を動かすか、動かさないか、上手くなれる人と、なれない人の最大の差は、そこにあるんです。

上手くなるためには、手順と足順だけの練習を、一回数秒でも良いから、一日に何度でもやるです。

朝から夜までやってれば、短いフレーズひとつの手順・足順くらいなら、一日でマスター出来るはずです。

それで、手足がスムーズに動くようになったら、本物のドラムセットで「練習成果」を試すために、リハーサルスタジオの「個人練習システム」を利用すれば良いのです。

ところが、実際には、多くの人が、スタジオに入って、ドラムセットに座ってから練習を始めています。

すると、しばらくの間は、自分のヘタクソな演奏を聴き続けなければなりません。しかも、1時間経っても上手く叩けない場合も少なくないでしょう。

それでは、誰だって嫌になってしまいます。練習を好きにはなれないでしょう。だから、上手くなれないのです。

普段から手順足順の練習をしていれば、セットに座った時には、もう手足は動くのですから、バランスやテンポ、音色等の、音楽的な部分だけに気をつければ良いのです。

だから、僕は初心者の生徒さんに一週間のうち6日は、手順足順の練習をして、その成果を試すために、週1回、一時間だけスタジオに入って下さい」と言っています。

練習するためではなく、6日間の練習の「ごほうび」として、生ドラムを思い切り叩くために、スタジオに入るのです。

もちろん、スティックを持てる時には、思い切りスティックコントロールの練習をすれば良いのですが、それよりも、手順・足順の練習の方がずっと重要です。

どんなに複雑なフレーズでも、セットドラマーがやっている事の大部分は「手足を順番どおりに動かすだけ」なんですから。



まとめ


繰り返しになりますが、上手くなるためには、練習は絶対に必要です。

そして、より上手くなるためには、より効率的な練習をする事が肝要です。

そのためには、頭を使い、工夫をして、常に「より良い練習」を目指すことです。

それから、良い音楽を沢山聴く事や、上手いドラマーの演奏を目で見る事も、とても大切です。

あ、そうそう、時々は、ドラム以外の楽器に触ることも、すごくオススメです。

特に、誰かにドラムを叩いてもらって、自分がギタリストやベーシストの立場に立ってみると、他のメンバーが、ドラマーに何を求めているかが、凄く良く分かりますからね。

なんにせよ、「練習を楽しむ」こと。つまり、「楽しめる練習法を見つける」事こそが、上達の早道です。

嫌々やるのと、楽しみながらやるのと、どちらが、より効果的か、言うまでもない事ですよね?



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