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★ マイ・フェイバリット・ドラマー:オレンジアルバムのコージー・パウエル


コージー・パウエルを初めて聴いたのは、レインボーのレコードだったと思いますが、やはり最初は「体育会系なハードロック・ドラマー」という印象が強かったです。

もちろん、そんな「肉体派」のコージーも最高にカッコイイのですが、それに関してはもう、あちこちで沢山書かれてますから、僕はちょっと違う角度から語る事にします。

実はコージー・パウエルって、R&B系のゆったりしたグルーヴ・プレイも、抜群に上手いって知ってました?

知らないという方は、ぜひ、ジェフ・ベックの『JEFF BECK GROUP』(*1)(通称:オレンジアルバム)を探しに、レンタル屋に走って下さい(笑)。

一曲目冒頭(↓楽譜)から、もう、むちゃくちゃカッコイイです。

*1 コージー抜きにしても、このアルバムは素晴らしい名盤ですから、聴いた事の無い方は、ぜひこの機会に(笑)。


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オレンジアルバム1曲目『アイスクリームケーキ』冒頭部(筆者の耳コピー)


フレージングは、いつものコージーのままなんですが、雰囲気が全然違うから、初めて聴いた時は、コージーだと分からなかったです。やたらにパワフルな黒人だなあ…と(笑)。(*2)

特に見事なのが、フットハイハットをウラに入れつつ、スネアやタムでアドリブを展開していく、ジャズっぽい部分。

鮮烈なオープンハットの音と、繊細極まりないフットクローズの対比が実に見事で、その間に入ってくるタム、シンバル、スネアが、また素晴らしい!

音色やダイナミクスまで絶妙に制御された、繊細かつ大胆で、メロディックなプレイを、まったく浮き足立つ事なく、どっしりと落ち着いたグルーヴでこなす、コージー…。

このアルバムを聴くまで、まさか、コージー・パウエルに、こんなプレイが出来るとは思ってませんでした。




*2 たとえば、バディ・マイルスとか、あの辺の人をイメージしました。


レインボー以降のプレイから推測して、正直、テクニック面では、ジョン・ボーナムやイアン・ペイスよりも劣る人だと思ってたんですが、とんでもない勘違いでしたよ(苦笑)。(*3)

「マジ? これ、本当にコージーか? ムチャクチャ上手いじゃん! ボーナムより上手いんじゃないの?!」

今考えても、このアルバムの楽曲を、コージーより上手くこなせるドラマーは、まったく思い浮かびません。

それから、よく「ツーバスをドカドカやるだけ」とかコージーの悪口を言う人がいますけど、冗談じゃない、このアルバムでのコージーは、バスドラムの連打を「歌わせる」という驚異のプレイを披露してるんですよ!

キックの連打が、全然うるさくなく、邪魔にもならず、見事にダイナミクスの制御されたそれは、ベースラインと一体になって、曲のグルーヴを支配しているんです。

これは本当に驚異的な事で、スピード面は別として、ここまで完璧にキックがコントロール出来るドラマーを、他に知らないですよ。コントロールは、確実にボーナムより上だと思う。

そして、本当にコージーが凄いと思い知ったのは、1曲目の最後の方に出てくる、このフレーズです。




*3 レインボー以降のプレイしか知らないと、良くても「意外にテクニシャン」程度の認識しか出来ないと思いますが、オレンジアルバムでのプレイや、なにげに、トラディショナル・グリップを使いこなす所から考えても、実は、ボーナムやペイスよりも、コージー・パウエルの方が本当はテクニシャンなんじゃないかという気がしてます。


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オレンジアルバム1曲目『アイスクリームケーキ』後半のフィル(筆者の耳コピー)


下段の、コージーお得意のフレーズに行く前に、4分音符を8つスネアで叩くだけのフィル。でも、コージーのプレイは、音色もタイミングも本当に「完璧」だから、超カッコイイ!

このシンプル極まりないフレーズを、こんなに良いタイミングと音色で決めるのは、よほど、R&B系のドラミングに精通していなければ、ムリだと思うんですよね。

実はコージー、若い頃はバーナード・パーディーとか、かなり好きで、結構コピーとかしてたんじゃないかな〜と思うんですけど、どうでしょ?

あの、コージーお得意の、ダチーチーチー!ってやるハイハットも、元を辿れば、パーディーの18番なわけだし…。

残念ながら、今回ちょっと調べた程度では、そういう情報はまったく見つかりませんでしたけどね。(*4)

それにしても、何度聴いても信じられないのが、この、渋〜いアルバムを録音した当時、ジェフ・ベックはまだ28歳、コージー・パウエルに至っては、24歳だったって事です。

これ、どう聴いても、20代の若造の音じゃないって(苦笑)。

*4 コージーが、極太のスティックを使っていたのは有名な話ですが、あれも、単に音量が欲しかったからではなく、コージーは学生の頃、マーチングをやっていたんじゃないでしょうか? だとすれば、太いスティックと、トラディショナルグリップの組み合わせも、非常に納得出来るのです。


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