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★ 基本グリップとバリエーション。音色とグリップの関係


一般的に、「正しいグリップの作り方」として紹介されている
『スティックの1/3〜1/4の場所を、人差し指と親指ではさみ、他の指を軽く添える』方法には、大きな落とし穴があります。

何も間違ってはいないのですが、説明不足なために、間違った持ち方になってしまう人が大変多いということです。
 (※具体的に、どう説明不足なのかは後述します)

そこで、一般的なやり方とは違う方法で、グリップの基本部分を作れないかと考えた結果が、今回の動画です。




↑に動画が表示されない場合、こちらをクリックすれば動画が見られます


まず大切なことは、どう持つかより、どこを持つかです。

なぜ「スティック(エンド側)の1/3〜1/4」を持つのか、一般的な「正しい持ち方」には、その「理由」が欠落しています。

「1/3〜1/4の場所」には、スティックが最も良く弾む場所である、バウンスポイントがあるという事実を知ることは、とてつもなく重要だと思うのですが・・・。(*1)

次に大切な事は、最小限の力で持つという事です。

人差し指と親指の2本で・・・と聞くと、大部分の初心者は
「スティックを落としてはいけない」と思って、必要以上にしっかり持ってしまいます。

ここが大問題で、しっかり持とうとして、指に力を入れると、手首が固まってしまうのです。(*2)

手首が固まってしまっては、柔らかなストロークは不可能となり、スムーズな演奏は出来ません。

したがって、今回の動画では、力んでしまいやすい通常の方法ではなく、力みにくい「小指をスティックに軽く巻きつける」ところから、スティックをホールドして行きます。

こうする事で、よく言われている「親指と人差し指の間に空間ができるように」というのも、自然に実現されます。

指とスティックの触れる場所は、人差し指〜小指の4本は、基本的に、第一関節(最も指先に近い関節)の「へこみ」の部分です。

これは、指のへこみにスティックが「ハマる」事で、より小さな力でスティックが持てるようになるからです。(*3)

それから、グリップには「手のひら」も使うという点を忘れないで下さい。

指だけでスティックを持とうとして、余分な力を使ってしまっている例を、非常によく見かけます。

打面を連打している時は、手のひらとスティックは離れますが、スティックが空中で止まっている時は、ほぼ100%、手のひらも使うと考えて下さい。

さて、「基本」があれば、常に「応用」があるわけで、グリップに関しては、基本よりも、そのバリエーションを、どう使いこなして音楽を実現していくかの方が、ずっと大切です。

まず知らなければいけない事は、グリップの支点は親指側だけでなく、小指側に持ってくる事も可能ということです。

親指側支点と小指側支点を使い分ければ、スティックを長く持ったり、短く持ったりするのと同じ効果が得られます。

そして、小指側支点の代表が「古典モーラー奏法」です。

大切なのに意外に知られていない事ですが、『モーラーブック』でも紹介されているように、本来、モーラー奏法というのは、小指側支点のグリップに適した奏法なのです。(*4)

事実として、「モーラートリプレットに挑戦したが上手くいかなかった」という、中級レベルの人に、小指支点で再挑戦してもらうと、10分以内で皆成功しているのを見て来ています。

最後の、フレンチグリップの指によるストロークと、トニー・ウイリアムス式の小指側を固定したグリップによる、ライドシンバルの音色比較は、あくまでも「参考例」ですが、ハッキリ音色が変わっているのは分かると思います。

音楽表現には「音色変化」は絶対に不可欠であり、音色変化の鍵はグリップにあるのです。

グリップを固定し、打点も変えなければ、音色が変化するはずはなく、「下手な打ち込み」のようなもので、表現も魅力も出るわけがありません。

「音楽表現の出来ないグリップ」は、どんなに形が美しかろうと、とうてい、正しいグリップなどとは言えません。

逆に言えば、「狙い通りの音」が得られているなら、どんなに「変な持ち方」だろうと、それは「正しいグリップ」です。

音楽は「形」を扱う世界ではなく「音の変化」で表現をする世界ですから、形に拘って、肝心な音が死んでいたら、何の意味もありません。

「正しいグリップ」は、求める音の数だけあるのです。










*1 「バウンスポイント」という発想が無いから、スティッキングに最重要な「リバウンドの利用」に目が向かず「スティックを握りしめて振り回す」ようになってしまうのです






*2 指から力が抜けている時は、手首は柔軟ですが、握ったり、ピンと伸ばした状態では、手首は固まってしまいます。















*3 今回の動画では触れていませんが、グリップを考える際には、手の表面の「肉のへこみ」や「骨のへこみ」を利用する観点が絶対に必要です。























*4 個人的に、モーラー奏法が「難しい」とされてしまう原因の一つは「本来のグリップで始めない」せいがあると考えます。


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