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★ 超人ドラマー:ジョン・ボーナム


ふと気付いたら、「超人ドラマー列伝」で紹介しているドラマーが、ジャズ・フュージョン系の人ばかりになってしまってましたが、実は、ちまちま小技を効かすタイプよりも
「うぉりゃ! ズドドガーン!!」
なドラマーの方が好き
なんです、僕は。

ドラム始めて数年は、パープルにクリームにツェッペリン等々、いわゆる「ハードロック」ばかり叩いてましたからね。

となれば、絶対にはずせないのが、ジョン・ボンゾ・ボーナム! なにを隠そう、もう20年ぐらいず〜っとハマり続けて、ようやく最近冷静になって来たというぐらいで(笑)。

もちろん、ボンゾ本人は何気に小技にも精通していて、決して「うぉりゃ!」的なプレイばかりじゃないし、時にはすごくタイトだったりもするんですが、その最大の魅力は、なんといっても、あの独特の「ビッグサウンド」ではないでしょうか?

初めて聴いた時は「なんて野蛮で汚い音なんだ!」と思ってしまったし、良い時と悪い時の差が激しくて、テンポがドシャメシャな録音も残ってるから「マジかよ、まともにテンポキープも出来ないのが、なんで名ドラマーなんだよ!」とか、最初は拒否反応の方が強かったんですけどね(苦笑)。

でも、これは『レッド・ツェッペリン』というバンド自体もそうなんですが、「慣れれば美味しいクサヤの干物」みたいなもん(?)で、一旦ハマルと抜けられなくなるんですよね(笑)。

時間がある時には、同じ曲を何度も繰り返して聴く事もしばしばで、特に『レビー・ブレイク』なんかは10回ぐらい連続で聴いてしまう事がしょっちゅうあります。

しかし、このシンプルなパターンが、ボンゾの「あの音」じゃなかったら、これほどの魅力はなかったでしょう。(譜面参照↓)


"WHEN THE LEVEE BREAKS"(LED ZEPPELIN W)の冒頭(筆者による耳コピー)
レビー・ブレイク譜面
(注:1拍目のキックは2打に聴こえますが、2打目はディレイ・エフェクトの音で、実際には演奏されていません)


ここまでハマると当然、自分でも「あれに近い音」を出したくなってくるんですよね。ロック系のドラマーの多くが、1度は思った事があるんじゃないでしょうか?


ところが、なかなか出せないんですよね、「あの音」は…。

残念ながら、息子のジェイソン・ボーナムは、そもそもタイプが違うみたいですし、最近になって、ボンゾのドラムテックをやってた人のDVDを見る機会がありましたが、ボンゾ本人のセットで、世界的なボンゾフリークのドラマー(?)が叩いた音も、確かに近いけど「なんか無理してる感じが違う…」と思ったし。

むしろ、全然違うセットで、ジェフ・ポーカロが叩いた音(*1)の方が、“ボンゾ”を感じさせたりして。

ちなみに、僕の場合も、何度も録音したりして試しましたが、やはり満足の行く結果は得られませんでした(苦笑)。

時には、自分では「かなりボンゾったつもり」で叩いても、録音して聴いてみると「イアン・ペイスな感じ」になってたりして(苦笑)。初めてコピーしたのがイアン・ペイスだったせいなのか、「三つ子の魂百まで」を痛感しましたよ。










*1 教則ビデオで、「ロザーナの原型」だと言って『フール・イン・ザ・レイン』を叩いて見せる場面がありますが、音もグルーヴも、意外なほど「ボンゾって」ます。
 あのポーカロもボンゾにハマってた時期があったんですね…。バランス的にキックがデカイのは、もしかしてボンゾの影響?


…と、話が横道にそれすぎましたね。なにしろ、ボンゾがスゴイと思うのは「ハードロックドラミングの一つの理想形を、たった一人で実現してしまった」という事です。(*2)

実際に、1980年代〜現在まで、世界中の殆どのロックバンドが求めてきたドラムサウンドの原型は、ツェッペリンのボンゾの音にあると言っても過言ではないでしょう。




*2 近い時期のドラマー達、カール・パーマーやミッチ・ミッチェル、ジンジャー・ベイカー等のプレイやサウンドが、今聴くと、かなりジャズ寄りな中で、ボンゾだけが音色もフレーズも非常にロックしてます。


特に『パワー・ステーション』以降、アンビエントなドラムサウンドが大流行したわけですが、あの系統のリバーブ処理のルーツは、間違いなくボンゾ(*3)ですからね。

ところで、僕はよく、昔の作品を「当時の人間になったつもりで聴いてみる」んですが、ツェッペリンの1枚目を聴いた当時のドラマーは相当なショックを受けたと思います。

1曲目の「何かの到来」を予感させるイントロ。重く、かつ、スイングするカウベル。そして突如、3連のフィルが爆発!!前代未聞の超重量級ドラミングの疾走(*4)が始まる…。

ボンゾのトレードマークであり、現在はデニチェンの18番(*5)になっている「3連頭抜きキック高速連打」も、わずか19小節目で登場! ボンゾのキックは、まるで「象のスキップ」みたいに強力で、本人は楽々上機嫌かもしれないけど、周りは大地震でパニック状態ですよ(笑)。

もう、曲の前半だけで軽〜くノックアウトされちゃってるのに、意地悪な事に一番スゴイ所はエンディングまで残してあって、テンポが上がってるのに「3連頭抜きキック」は前半の3倍の「9回連続まで大増量」のダメ押し!!

フェードアウト寸前、2:40秒付近の「タム→フロア」の音色の素晴らしさには、何度聴いてもため息が出ます…。




*3 『パワー・ステーション』のドラマーといえば、故:トニー・トンプソンですが、この人も、かなりボンゾの影響が強かった人だと僕は思います。





*4 同じ「疾走」でも、イアン・ペイスが「高性能レーシングカー」なら、ボンゾのは、まさしく「コンボイ」か「重戦車」ですよね


*5 デニチェン本人は、3連頭抜きキックに関しては、ボンゾの影響ではないと言ってますね。そうかも知れないけど、アナタも結局ボンゾの影響受けまくりな事はバレバレですから!(笑)


あの『グッドタイムス・バッドタイムス』という曲は、レッド・ツェッペリンというより、「ジョン・ボーナムという、未曾有のドラマーの登場」を世に知らしめるための曲だった(*6)と思いますね。

おそらく、多くの若いドラマーが絶望したんじゃないかと。

そして、絶望しなかったドラマー達も、あのキックを2バスだと信じて、必死で練習してたらしいですから、「実はワンバス」だと知った時点で、やはり絶望ですよ(笑)。

現在のペダルを使っても、速さはともかく、シングルペダルで「あの音」を出すのは至難の技でしょう。デニチェンも音色では完全に負けてますからね。(22インチ使いのデニチェンが、ノーミュート26インチのボンゾに勝てるはずはないんですけどね…)




*6 異論は多々あるでしょうが、もし、ジョン・ボーナムを聴いたことがないドラマーに、まず一曲だけ聴かせるのなら、僕はやはり、『グッドタイムス・バッドタイムス』こそが最適だと思います。


なにしろ強力無比なのに、スケールがデカくて無理してる感じがしない。その上、実は繊細なテクニックにも精通してるから、プレイの幅が広く、奥が深い…。

ス・ゴ・ス・ギ・デ・ス・・・

とにかく、ロックを演るのなら、ジョン・ボーナムは絶対に聴いておかなければならないドラマーだと思います。好き・嫌いはともかく、知ってるのと知らないのとでは、ドラミングに対する価値観が全然違って来ますからね。

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DRUMMERWORLDこちらのページでボンゾの演奏を見る事が出来ます。
なにはともあれ、まずはMOBY DICKを。
↑楽譜のWhen the Levee Breaks他のサウンドファイルもあります。



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