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★ マイ・フェイバリット・ドラマー:ジェフ・ポーカロ


ジェフ・ポーカロといえば、TOTOのオリジナルドラマーなわけですが、僕は当初、TOTO自体があまり好きじゃなかったんで、ポーカロにも、特に注目してなかったんです。

どうしても、フュージョンの人達が無理してロックを演ってる…という感じがして、この人達の場合は、やっぱりセッションでのプレイの方が良いんじゃないかな…と、ずっと思ってました。

特に、3枚目の『ターン・バック』なんかは、わざと荒い音質で録っているのが、鼻についてしまってダメでした。

ところが、あの『ロザーナ』から始まる4枚目の『TOTO IV』には、見事にノックアウトされましたね。だってもう、あのドラムのイントロからしてカッコよすぎだし、曲もアレンジも、演奏も録音も、全部が良いんですから!!

初めて聴いた時から、もう20年以上も経っちゃいましたけど、今でも時々、通して聴きます。あれは本当に名盤です。

当然、『ロザーナ』のドラムも真似してみようとしましたが、当時の僕では、全然手が追いつきませんでした(苦笑)。

ただ、その頃はまだ、ジェフ・ポーカロより、TOTO自体の「その後」に注目していたんで、それ以後のTOTOが、ボーカリスト交代の連続で失速して行っちゃったために、ポーカロも再び、ノーマークなドラマーになってしまって…。



そんな僕が、ポーカロに完全にハマッたのは、1989年に出たポーカロの教則ビデオを見た時からです。(画像→)

正直、期待してなかったんですよ。とりあえず、ポーカロのも買っておくか、安いし…みたいなノリで、たった30分と、短いみたいだから、どうせ大した内容じゃないだろう…と。

ところが、へぇ、ポーカロって、こういうプレイも上手いんだ…と関心したオープニングから、「やあ、僕はジェフ・ポーカロだ。楽しくセッションしよう。…まずは、8ビートからだ」ってポーカロが叩いた8ビートが、もう、全然違うんですよ!


ポーカロ教則


スティックの振りは全然小さいのに、キックもスネアも凄い音してて、ドッシリと重心の低い、当時、日本人のドラマーからは滅多に聴けなかった、骨太な8ビートで。(*1)

その後も、軽々と片手で刻む速い16や、芸術的なスライドステップ。ゴーストノートを入れる左手の、あまりにも精密な動きに、冗談じゃない、ムチャクチャ上手いじゃん、この人、ガッドより上手いんじゃないの?…と。

ガッドって意外に荒いんで(苦笑)、ポーカロの、音色やダイナミクスのコントロールが絶妙で、すみずみまで細やかな気配りのされた演奏は、本当に「上手い!」と思いました。

こんなに上手い人に、今まで注目してなかった自分は、なんてバカだったんだ!と後悔しながら、10分もしないうちに、すっかりポーカロにハマってましたよ。

もう、『ロザーナ』のリズム解説と実演の箇所に来た頃には、「うわー!ロザーナだよ!ロザーナ!本物!!カッコイイ〜!スゲー!スゲー!」状態で(笑)。

「実は2枚のレコードを参考に『ロザーナ』のリズムを作った」
(注:ポーカロ本人は、ハッキリと「stole=盗んだ」と言ってます)という解説部分なんかから、ポーカロの謙虚な人柄も伝わって来て、人間的にも、好きになっちゃいましたし。




*1 当時そのままの表現で言えば「外人の音!」という感じです。でも、ポーカロが小さい(身長167cm)のは知ってたので、何でこんなに違うんだろう…と。
 ちなみに、この教則でのスネアは、ちょっとゲートリバーブがかかったような音に聴こえますが、ずいぶん後になって、知り合いから、ポーカロが日本でレコーディングした時に撮られたプライベートビデオを見せてもらったら、スタジオの中で、ビデオカメラのマイクで録られたポーカロの生のスネアの音も全く同じだったので「エフェクトのせいじゃなかった!」と、さらにビックリでした。


それにしても、その後もずいぶん、色々なドラマーの教則ビデオを買って来ましたが、ポーカロが唯一残した、この作品は、最も優れたドラムの教則ビデオだと思っています。(*2)

たった30分だけど、全く無駄が無く、初心者からプロまで得るものがあり、何より、デモ演奏のすべてが素晴らしい
(他の教則物では、たびたび見られる「おっと…」というミスが全くない!)

インタビュアーを用意せず、必要最小限に抑えた「喋り」の内容からも、ポーカロの教則が「作らされた」ものではなく、本人が「観る側の視点に立って」作ったものだと強く感じますし。

こうして、ようやくポーカロの良さが分かった僕は、改めて、ポーカロが参加したアルバムを探して聴き返すようになったわけですが、聴けば聴くほどポーカロが好きになるんですよね。

何が良いって、余計な自己主張をせず、常に楽曲第一でプレイしていた事ですね。そして、ここぞ!という時には、ドカーン!と爆弾を落とす。それがまたカッコイイ。

それに、良い時と悪い時の差が非常に少なくて、歌物はもちろん素晴らしいし、フュージョン系となれば、バリバリに攻撃的なプレイも楽々こなすし、ジャンルを問わずに、曲を気持ち良くグルーヴさせる事に関しては、この人の右に出る人はいないんじゃないかと思います。

しかし、そうやって、ポーカロが好きになってきた矢先に、あの突然の訃報…。38歳。若すぎますよ。本当に活躍するのは、これから…と思っていたのに…。

でも、彼が遺した演奏から学べるものは、とても多いと思います。参加作品は沢山ありますし、名盤が多いですから、今まで注目してなかったという人も、ぜひ、聴いてみて下さい。




*2 非常に残念なのは、DVDで再発されたものには、日本語字幕の付いたものがない(日本語対訳小冊子付きは有)のと、短いチャプターごとに強制的にトップメニューに戻ってしまうという、不可解な仕様になってしまっている事です。




ポーカロに関するエピソードの中から
特に印象的だったものを紹介します
ある日本人女性歌手が、ポーカロのドラミングに関して語った話。
 「すごく歌いやすかった。他のドラマーとは全然違う。日本語が解らないはずなのに、どうして、こんなに歌を活かしたドラミングが出来るんだろうって…」(趣意)

本人談:「僕のタイム感はカスだよ」
 とてもそうは思えませんが、試しに、メトロノームで『ロザーナ』の各セクションのテンポを計測してみて下さい。ずいぶんとテンポが上下していてビックリするはずです。でも、グルーヴが良いから全然気にならないんですよね…。

本人談:「セッションの1時間前にはスタジオに行くことにしている」
 上にも書いた、日本人ミュージシャンのレコーディングに来たポーカロのスタジオでの様子を収めたビデオでも、本当に誰よりも早くスタジオに来て、セットの音を確認したり、シンプルなビートを叩いてウォームアップしている姿が映ってました。

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