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★ ドラマーに、ヘッドホンのススメ
(※この文章は「モニターヘッドホンのススメ」というエッセイを、状況の変化に伴って書き直したものです)

僕はいわゆる「オーディオマニア」ではありませんが、小さい頃から「音」そのものへの関心は強くて、オーディオや楽器よりも先に興味を持ったのが「生録音」でした。

大昔には「生録マニア」ってのがいて、山や川や海に出没してたんですよ。僕も中学の頃、生録にハマって、重い機材を背負って、あちこち行ったもんです。(右画像→)

僕がヘッドホンと出会ったのは、この時なんです。生録では、音のモニターにはヘッドホンを使うしかないですからね。

そして、「ヘッドホン」には、沢山の利点があるという事に気付いたんです。その利点とは…

  1. いつでもどこでも他人に迷惑かけず爆音で聴ける(*1)
  2. 音(音楽)の非常に細かい部分までがよく聴こえる
  3. 高音質なものが、スピーカーよりずっと安く手に入る
  4. スピーカーのように部屋の影響を受けない(当たり前)

…というようなことですね。

生録マニアのガキ
中学時代の筆者。ヘッドホンでかっ!

*1 自分で「爆音」とか書いておいて何だと言われそうですが、ヘッドホンは構造上、空気(音)の逃げ場がないので、スピーカーよりも難聴になりやすいです。音量は控え目にされることをオススメします。

なので、趣味が生録から音楽演奏に変わってからも、ずいぶんヘッドホンを使って来ました。(*2)

曲の耳コピはもちろん、友人達と録音したデモ・テープのミックスも、普通はモニタースピーカーを用意するものですが、僕はかなり長い間ヘッドホンだけでミックスしてました。

なにより、値段の利点というのは大きくて、スピーカーの10分の1位の値段で、もう充分以上に良い音質のものが手に入りますからね。

今回オススメする、KOSS SportaProなんて、3000円以下で買えますが、ホントに必要充分な音質です。

KOSS SportaPro

これまで愛用して来た、SONYのプロ用モニターヘッドホンのCD900STとか、発売当時はリスニング用の最高機種だったZ900と比べても、聴き劣りしない位です。

しかも、CD900STみたいに音源の粗が気になったり、Z900のように何でも綺麗に聴かせちゃうような、鳴り方の欠点がないので、すっかりメインのヘッドホンなっちゃいました(笑)。
(CD900STは現在も愛用中ですが、Z900とCD6は全然使ってません(^^;)

ロック・ジャズ・ポップス・クラシック…ホントに何でもイケます。久しぶりに、「単純に音楽を聴いて楽しむ」喜びに浸れて、それだけでも、買って良かったと思いました。

とはいえ、僕はけっして、このヘッドホンが「最高」だなんて事は言いませんよ。当たり前ですが、これより良いヘッドホンなんて、世界にはいくらでも存在します。

安くても良いヘッドホンは、他にもあるでしょうし、値段を考えなければ、良いヘッドホンなんて、それこそ沢山あるでしょう。

でも、そんなことを言い出したらキリがないわけで(笑)。

なにしろ「お買い得」なヘッドホンである事は間違いないので、一般の方にもオススメなんですが、とりわけ、ドラマーにはオススメしたい理由があるんです。


*2 筆者のヘッドホン遍歴

1. Technics EAH-210
高音も低音も無い音だったが、当時のラジカセのスピーカーよりは良かったので、爆音で音楽にひたる快感を知った。
(↑写真で筆者が被っているのはコレ)

2. YAMAHA HP-1
音は気に入っていて(一部では「名器」と言われていた)長く愛用していたが、非常に壊れやすくて何度も修理に出した。

3. BAYER DT-440(初代)
これは完全なリスニング用。見た目は非常にレトロかつチープなのに、コンデンサー型を彷彿とさせる独特の繊細な音が素晴らしかった。もう1度聴いてみたい。

4. SONY DR-6M
オーラトーン(大昔のスタジオ用モニタースピーカー)的なカマボコ特性(中音重視)だったが、これでミックスすると必然的にドンシャリ(高低音が強調された音質)になるため、意外に重宝して長く愛用。

5. PIONEER MONITOR7
HP-1が完全に壊れたので購入。本体の左右それぞれにボリューム・ノブが付いた珍しいデザインで、装着感は良かったが、音は典型的なドンシャリでイマイチ。

6. audio-technica ATH-M77
MONITOR7に満足できず、試しに購入。悪くはないが良くもなく、後に大金をはたいて、Z900に手を出すきっかけに。

7.SONY MDR-Z900
まだ、CD900STが一般市場に出ていなかった頃に、替わりに購入。繊細で美麗な音と広いレンジは素晴らしいが、音楽のアラは出ずモニターには不向きだった。

8.SONY MDR-CD6
見た目は全然違うが、意外にCD900STに近い音。ヴォーカル帯域だけなら勝るかも。イヤーパッドが数年で激しく劣化するのが難点だが、60〜70年代のポップスを聴くなら最高かも。

9.SONY CD900ST(詳細は下記)

※各型番から『ヘッドフォン近代博物館』の該当機種紹介ページにリンクさせて頂いています。


■ KOSS SportaProが、特に「ドラマーにオススメ」な理由


実は、これまで生徒さんには常に、「ヘッドホンならSONYのCD900ST」と言って来ました。

なぜなら、ドラマーは録音では必ずヘッドホンを使うわけですが、国内のレコーディングスタジオにモニター用として置かれているのは、たいていCD900STですから、普段から同じ音と装着感を知ってる利点が確実にあるからです。

しかし、CD900STが「密閉型モニター」であるために、ドラマーにとって大事な場面に対応出来ないという皮肉な事実もあり、その事は常に気になっていました。

ドラマーなら誰でも「音楽に合わせて叩く練習」をしたいと思い、実際にやって来た人も多いはずです。事実、絶対に必要かつ大事な練習法です。

しかし、スタジオのPAに音源を繋いで鳴らすと、実際にやった人なら分かると思いますが、ドラムの音とバランスする所まで音量を上げると、かなり耳が痛い。かといって音量を下げると、今度は音楽がよく聴こえません。

うちのレッスン室では、PAスピーカーの特性を調整して、ドラムとバランスする所まで音量を上げても、耳が痛くならないようにしてあるのですが、一般的なレンタルスタジオに、それを求めるのは無理と言うものです。

かといって、CD900STのようなヘッドホンを使うと、音楽はクッキリ聴こえますが、自分のドラムの生音は、高音域ほど遮断されてしまうので、知らず知らずに、シンバルを思い切りデカく叩いてしまうという結果になります。

どうしたものか…と考えているうちに、大昔に「ウォークマンと付属のヘッドホン」を使って、音楽を聴きながらドラムを叩いていた先輩ドラマーがいた事を思い出しました。

初期ウォークマンのヘッドホンは「音楽を聴いていて外の物音が聴こえないと危険」という理由で、すべて開放型(オープンエア)でしたから、音楽を聴きながら、自分のドラムの音も、ほぼそのまま聴けたのです。


●CD900STについて…
MDR-CD6
 国内だけでなく世界中のメーカーが、CD900STを意識したモニターヘッドホンを出して来ているうえに、SONYも直系の後継機種を発売し始めた現在、わざわざ個人で、このヘッドホンを購入しなくても良いとは思いますが、現場では、まだしばらくは使われ続けるでしょう。
 かすかなノイズや、録音や機器の音質の良し悪しまでをクッキリえぐり出す力は、他のヘッドホンの比ではありません。
 たまに、「高音域が耳に刺さる」等と、勘違いな批評をしている人がいますが、それは、比較したヘッドホンか、聴いた音楽の録音か、再生機器の音質の、どれかに問題があるという事を、CD900STが暴き出したという事です。
 変なたとえですが、「ハイビジョンで見たら、好きなアイドルの肌が汚くて幻滅した」というようなもんですね。
 CD900STは、何でもかんでも良い音に聴こえる魔法のヘッドホンではなく、あくまでも冷徹な「プロ用モニター」です。リスニング目的の人には、オススメしません。
 リスニング用なら、今回紹介している、KOSS SportaProの方が、ずっとオススメです。


「そうか!オープンエア型のヘッドホンで、良い奴を探せば良いんだ!」と、調べ始めたら、すぐに、このSportaProに関するユーザー・レビューが見つかりました。

レビューによると、音質が良く、丈夫で、多少頭を振っても落ちない上に、遮音性は、殆ど皆無…まるで、ドラマーのために作られたようなヘッドホンじゃないですか!

しかし、実際に購入してみると、あまりにも見た目がチャチで、すぐに壊れそうな感じだし、ヘッドバンドは一定の位置に止まらない、コードは短すぎ、携帯用ポーチは小さすぎ、その上さらに説明書はないわで、一気に不安になりました。

でも、音を聴いた瞬間、そんな事は、どうでも良くなってしまいました。特別な音ではないけど、低域〜高域まで非常に良い感じにバランスの取れた「まともな音」なのです。

さすがKOSS。モニターヘッドホンの老舗だけあって、リスニング用の機種でも、趣味性に走らず、正統で堅実な音作り。耳たぶが振動するぐらいの大音量にしても全く問題なく、ドラマーが使うにはバッチリです。



最初は驚いた「止まらないヘッドバンド」も、慣れてしまえば、かえって便利ですし、見た目と違って意外に丈夫。多少頭を振っても動きませんし、折りたたみ方さえ分かれば、携帯ポーチの小ささも助かります。(*3)

以来、うちの教室では、音楽を聴きながら練習する時に困っているという生徒さんには、SportaProをすすめ、実際に聴いてもらい、ドラムを叩いてみてもらっています。

ある生徒さんが言うには、シーケンスやクリックを聴きながら叩く必要があるステージ等では、音質が良くて過剰に大音量にする必要がなく、外部の音も聴こえるヘッドホンというのは、非常に利点があるとの事なので、もしかすると、ドラマーのモニタリング革命に繋がるかも知れません。

iPodなら、そのままでも充分な音量が、得られるようですが、携帯オーディオプレイヤーの音量が足りない場合は、シンプルなヘッドホンアンプか、小型のミキサーと組み合わせて使えば良いでしょう。

もちろん、普段聴きにも、曲の耳コピーにも、充分に対応できる音質を持っていますから、ドラマーなら、一台持っていて絶対に損はないです。

KOSS SportaPro、間違いなくオススメのヘッドホンです。

★SportaProの購入方法★
SoundHouseのSprotaPro紹介ページから買うのが一番簡単だと思いますが、たとえば、[SportaPro 特価]でweb上を検索するとか、価格比較サイトを使う等して、安いお店を探してみて下さい。
 念のため、「交換用イヤパッド」も同時に購入しておくと良いかも。




(*3)付属の携帯ポーチは本体より小さいので↓そのままでは入りませんが…
そのままでは入らない
下画像のように折りたためば↓入ります
このように折りたたむ

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