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★ 超人ドラマー:アレック・ダサート
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こちらに、ダニー・レイモンドの事を書いてすぐに、生徒さんから「ちょっと面白い動画を見つけました」とメールを貰いました。

そこに映っていたのはジム・キルパトリック。バグパイプとスネアドラムがメインのスコットランド式マーチングのスネアドラマーで、16回も世界チャンピオンになった人です。(*1)

DCI系ではないので、日本では知られてませんが、パイプバンドの世界では、文字通り「生ける伝説」の存在です。

百聞は一見にしかず。まずは動画を見てみて下さい。


 当初、alex duthartをアレックス・ダサーと表記していましたが、英国BBC-TVでの紹介時の発音は、アレック・ダサートが近かったので、表記を修正しました。



*1 不勉強にして「パイプバンド」と呼ばれる、スコットランド式マーチングに関しては、まったく知りませんでしたので、完全にノーマークでした。生徒さんに感謝です


イギリスのクリニックでデモ演奏をするジム・キルパトリック


実は、ダニー・レイモンドについてのエッセイを書きながら、僕には、ある「予感」がありました。「ダニー・レイモンドより、さらに上を行く達人が、いるのではないか」…というものです。

その予感は、ジム・キルパトリックによって現実になりました。

動画で明白ですが、スピード、技の多彩さ、バックスティッキング時の「異常」とも言える音色…キルパトリックのテクニックレベルは、ダニー・レイモンドより、さらに上です。(*2)

「まいったな…。ダニー・レイモンドより凄い人が、こんなに早く見つかってしまうとは…」と思った僕ですが、同時に、わくわくするような、新たな予感も芽生えていたのです。










*2 あくまでも、テクニック面での話です。音楽性や表現力なら、むしろ、ダニー・レイモンドに軍配が上がります


それは、「ジム・キルパトリックよりも、さらに凄い達人が、過去にいたに違いない」というものです。(*3)

そしてもし、ジム・キルパトリックを超える達人が実在したら、その人は間違いなく、セットドラミングにおけるバディ・リッチ同様「圧倒的頂点」にいた人のはずじゃないですか!

その可能性に僕は興奮しました。問題は、それが誰なのかということですが、しばらくの間、それは全く謎のままでした。

しかし、ジム・キルパトリックの動画をあれこれ見ているうちに、YouTubeのコメント欄に「ヒント」が見つかったのです。



*3 なぜ、そう思ったかというと、ジム・キルパトリックに、“ヴィニー・カリウタと同じ匂い”を感じたからです。
 これはあくまでも「感覚」で、論理的な説明は出来ませんが、そう感じました。
 そして、カリウタに当たる人がいたなら、バディ・リッチに当たる人だって、いて不思議じゃない…という所から「新たな予感」が芽生えたわけです。
 ちなみに、ダニー・レイモンドには、スティーヴ・ガッドと同じ匂いを感じます。


そこには、バディ・リッチのインタビューが紹介されていました。
(※原文は英語です)

俺より凄い奴が一人、スコットランドにいる。アレック・ダサートという奴で、そいつは俺がドラムセットでやる以上の事を、たった一個のスネア上でやってしまうんだ…」(*4)

そして、コメントの続きには「アレック・ダサートは、ジム・キルパトリックの先生」だとも書かれていたのです。

「これだ!」 すぐに、Alex Duthartで、YouTube内を検索すると、動画は、意外にあっさりと見つかりました。

動画の一つが、これです。特に3分20秒過ぎからに注目!






*4 ちなみに、左記に引用したバディ・リッチのインタビューは「でっちあげ」だとされていますが、この時の僕にとって、その真偽など、どうでも良い事でした。
 「圧倒的頂点にいる」可能性がある人の名前と、スペルさえ分かれば充分だったからです。
 本当に凄い人かどうかは、動画や音源で、自分の目や耳で判断すれば良い。
 なにしろ、手がかりが欲しかったのです。


アレック・ダサート:バックスティッキングとスティッククリッキング


しばらくは、手の動きが柔らかくて上手いな…とは思っても、驚く程ではなかったですが、2分55秒過ぎのスティックトリックに「ジム・キルパトリックがやってた、そのまんまじゃないか!」と。

そして、3分20秒過ぎから始まるスティッククリッキングは
明らかにバディ・リッチを超えてる
じゃないですか!(*5)

この動画を見るまでは、まさか2本のスティックだけで、ここまでの演奏が出来てしまうなんて、夢にも思ってませんでしたよ。

「やばいよ、見つけちまった。はは…ついに見つけちまった…」そんな言葉を呟きながら、僕は、すっかり、アレック・ダサートのスティックワークに魅せられていました。

アレック・ダサートの動画は、他にも色々ありますが、中でも、ぜひ見て頂きたいのが、「ドラッグ」を実演している動画です。







*5 このやり方自体は、ジム・キルパトリックの演奏を見て知っていました。
 その時は、バディ・リッチのやり方を、キルパトリックが改良したのかな?と。
 でも、ダサート本人の演奏は、キルパトリックよりもさらに優雅で、自由で…。
 むしろ、バディ・リッチが、アレック・ダサートのスティッククリッキングを盗んだんじゃないかとさえ、思ってしまいます。
 ビリー・グラッドストーンのシングルストロークを盗んだ前科がありますからね。


アレック・ダサート:ルーディメンツの「ドラッグ」について語る


なんて柔らかくて、軽快で、音楽的なルーディメンツ演奏!

信じられないスピードで、ドラッグ系のルーディメンツを演奏しながらも、そのスティックワークは、どこまでも優雅です。

しかも、バディ・リッチやダニー・レイモンド、ジム・キルパトリックでさえ、超高速領域では「ちょっと無理してる?」という時があるのに、アレック・ダサートには全く無い!(*6)

という事は、ダサートは上記3人より、さらに格上の達人だという事じゃないですか! そんな人が本当にいたなんて!

「ついに見つけちまった…」というのは、そういう意味です。

そして、ダサートのスティックワークは、僕が長い間夢想していた「理想のスティックワーク」そのものでもありました。

特に、単純なドラッグの時の動きは、「ドラッグを極めたら、こうなるはずだ」と考えていた通りで、「目指した方向が間違っていなかった」という意味でも、嬉しいものでした。

また逆に、左手の親指に関しては、ダサートの真似をしてみて「なるほど、この方がさらに良い訳か…」と分かって、「まだまだ甘かったな」と思い知らされもしました。

さらに、何よりも、この動画後半で実演している「メロディと直接対応するルーディメンツ」のような、「より音楽的な」スネアドラミングへのアプローチの仕方。

それこそが、僕がずっと求め続けて来たものだったのだという事が、非常に良く分かったというのも、大きな収穫でした。

なぜなら、ドラマーが演奏するのは「音楽」だからです。

テクニックは、もちろん、あるに越した事はないのですが、それより大切なのは「テクニックをどう使うか」です。

どんなにテクニックが凄くても、それを「より良い音楽のため」に使えないのでは、優れたドラマーとは言えません。

最高峰のテクニックを、音楽のために、適切に、絶妙に使いこなしていた、アレック・ダサートは、伝説以上に優れた「最高」のスネアドラマーでした。

「しょせんマーチングの人だから」などと言って軽視するのは、絶対に間違いです。

バディ・リッチを超えたスティック技術の持ち主>というだけでも、その意義は、とてつもなく重いのですから…。









*6 これまた「でっち上げ」でしょうが、バディ・リッチが、アレック・ダサートを評して「俺よりはるかに優れたドラマー」だと言ったという話があるそうです。
 もちろん、バディ・リッチの性格から考えて、そんな事を言うはずがないのですが、アレック・ダサートの演奏を目の当たりにすると、「そう言っても不思議ではないな」と思えてしまうのが恐ろしいです。


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