なんて柔らかくて、軽快で、音楽的なルーディメンツ演奏!
信じられないスピードで、ドラッグ系のルーディメンツを演奏しながらも、そのスティックワークは、どこまでも優雅です。
しかも、バディ・リッチやダニー・レイモンド、ジム・キルパトリックでさえ、超高速領域では「ちょっと無理してる?」という時があるのに、アレック・ダサートには全く無い!(*6)
という事は、ダサートは上記3人より、さらに格上の達人だという事じゃないですか! そんな人が本当にいたなんて!
「ついに見つけちまった…」というのは、そういう意味です。
そして、ダサートのスティックワークは、僕が長い間夢想していた「理想のスティックワーク」そのものでもありました。
特に、単純なドラッグの時の動きは、「ドラッグを極めたら、こうなるはずだ」と考えていた通りで、「目指した方向が間違っていなかった」という意味でも、嬉しいものでした。
また逆に、左手の親指に関しては、ダサートの真似をしてみて「なるほど、この方がさらに良い訳か…」と分かって、「まだまだ甘かったな」と思い知らされもしました。
さらに、何よりも、この動画後半で実演している「メロディと直接対応するルーディメンツ」のような、「より音楽的な」スネアドラミングへのアプローチの仕方。
それこそが、僕がずっと求め続けて来たものだったのだという事が、非常に良く分かったというのも、大きな収穫でした。
なぜなら、ドラマーが演奏するのは「音楽」だからです。
テクニックは、もちろん、あるに越した事はないのですが、それより大切なのは「テクニックをどう使うか」です。
どんなにテクニックが凄くても、それを「より良い音楽のため」に使えないのでは、優れたドラマーとは言えません。
最高峰のテクニックを、音楽のために、適切に、絶妙に使いこなしていた、アレック・ダサートは、伝説以上に優れた「最高」のスネアドラマーでした。
「しょせんマーチングの人だから」などと言って軽視するのは、絶対に間違いです。
<バディ・リッチを超えたスティック技術の持ち主>というだけでも、その意義は、とてつもなく重いのですから…。
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