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★ こんな練習、やっちゃダメ!


こちらにも書いたとおり、ドラムは楽で簡単な楽器です。なにより、たとえドラムセットを持っていなくても、工夫次第で、いつでもどこでも練習できるのが良いですよね。

ところが、良かれと思って「かえって下手になる」練習をしている人も、意外に少なくないような気がします。

ちゃんと練習しているのに「どうして上手くなれないんだろう…」とか「前より下手になった気がする…」という人は、もしかして、こんな練習をやっちゃってませんか?



下手になる練習法その1:スティックの素振り


これ、やっちゃってる人、多いんじゃないでしょうか?(^^;;;

僕自身の経験から言うと、全く意味がないどころか「百害あって一利無し」ですから、すぐにやめた方が良いです。

なぜなら、「スティックの素振り」で習得出来るのは「せっかく振り下ろした腕とスティックを、自分の力で空中で止める」という、不自然な動作だけだからです。

実際のドラミングで「振り下ろしたスティックを、空中で止める」(打面上で“寸止め”する)なんてことがあるでしょうか? あるとしたら、ソロの途中で「ネタ」としてやるだけですよね?

基本的に、ドラミング中にスティックを止める必要があるのは「打面からハネ返って来た時」だけです。それ以外に、スティックを自分の力で止める必要は、まずありません。

そうなんです。実際の演奏では使わない動作を、どんなに練習しても、上達するはずがないんですよ(^^;;;。

それだけでなく、素振り練習を長くやっていると、打面に当たる寸前に(多少ではあっても)自分で止めてしまう(寸止め)クセがついて、パワーが落ちてしまう結果になります。

スティックでも、素手でも、ドラミングの練習をする場合は、必ず「打面」になるものが必要なんです。打面のない所で素振りをしても、まったく練習にはなりません。

ちなみに、砂を詰めたペットボトルだとか、ダンベルを素振りするなんてのも、全く無意味ですので、念のため。

40〜70グラム程度のスティックと、キロ単位の物を動かすのとでは、運動の性質が全く異なるからです。



下手になる練習法その2:「空気ペダル」練習


特にロック系の方は、キック(バスドラム)の練習の時、ペダルがなくても、ペダルがある時と同じように、カカトを上げて、脚全体を動かして練習しちゃってませんか?

もし、やっていたら、すぐにやめた方が良いです。経験から言って、これは「確実に下手になる」練習法だからです。

「空気ペダル」練習は、実際のペダルの動作と「足の動きのイメージ」とのギャップを大きくするばかりで、やればやるほど、キックのタイミングが不安定になってしまいます。(*1)

…と言っても、いまいちピンと来ない人が多いようなので、<空気ペダル派>の方に、逆に質問しますが、あなたは、スティック・コントロールを身に付けるために「空気スティック練習」をしていますか?

つまり、スティックが無いのに「スティックを持っているつもり」で、手を振る練習をしますか? その練習で、スティック・コントロールは上達すると思いますか?

もう、おわかりでしょう。「空気スティック練習」では「エアドラム」が上手くなるだけなんですよ。

なぜ、スティックよりずっと複雑な、「機械」であるペダル・コントロールの練習を、「空気ペダル」で出来ると思っちゃうんでしょうかね?(^^;;;










*1 ゆっくりした音符だと、あまり問題が出ないので弊害に気付きにくいのですが、自分ではけっこう練習しているつもりなのに、速い連打になると、踏めたり踏めなかったり、踏めてもタイミングや音量が一定しないという事がありませんか? それこそが「空気ペダル練習者」の典型的な症状です。思い当たる方、多いのでは?


まあ僕自身、この簡単な構造に気付かなかったせいで、20年位「足が動かない…」と悩み続けてたんですが(苦笑)。

所詮、床上でのキック練習は、スティックを持たずに「素手でなにかを叩く練習」と同程度のものでしかないのです。ペダルをイメージする必要も意味もありません。

では、どうすれば良いのか、結論を言えば、ペダルが無い時は「カカトを付けたままで、つま先で床を叩く」やり方で練習し、実際にペダルを踏む時は「カカトが上がっても良い」ことにすれば良いのです。

なぜなら、キックで大事なのは、なによりも「つま先」の動きであり、つま先を鍛えるためには、床上でカカトを付けた状態で行なうのが、一番効果的だからです。

地味で苦しい練習ですが、カカトを付けて床上で踏めた音符は、実際のペダルなら楽勝で踏めますし、ペダルには「バネがあるから楽」なんだという事も、よく分かります。

僕自身も、最近では「足の練習」は9割以上、床上でカカトを付けてやってます。おかげで、イマイチ動かなかった左足も、短期間で右足に追い付いて来ました。(*2)

*2 元々左利きだった僕は、数年間は左利き用のセットで、左足でキックを演奏していましたが、最近10年以上は、右利き用のセットを使っていたため、キックだけは右足の方が上達してしまったんです。


下手になる練習法その3:擬似ドラムセット型練習台や電子ドラム


ドラムセットと同じように、立体的に配置できる練習台や、電子ドラム等を使って練習する人も多いようですが、これも、かえって下手になりかねない危険をはらんでいます。

「本物のドラムセットは家に置けないから、せめて…」という理由で購入する人が多いようですが、少なくとも2つの点で注意が必要です。

第一に、家の練習台や電子ドラムと、スタジオ練習やライブの本番で使うドラムセットとでは、絶対にセッティングの位置が違うという事です。

「自分には非常に優秀なボーヤがいて、いつ、いかなる場所でも、完璧に好みのセッティングを再現してくれる」という人は別として、普通のアマチュアドラマーが実際に使うセットは、スタジオやライブハウスに置いてある物か、対バンが持ち込んだ物が、ほとんどじゃないですか?

そして、時間の問題や、セット自体の問題(ホルダーのネジが壊れているとか)のために、たいていの場合、自分の納得するセッティングには出来ないはずです。

そんな時、いつも同じ位置にセッティングされた練習台を使っている時間が、長ければ長いほど、実際のドラムセットとの、配置の違いに悩む事になってしまいます。

悩まないためには、練習台や電子ドラムのセッティングを、しょっちゅう変え続ける必要があるわけですが、そんなメンドーなこと、誰もやらないですよね?(苦笑)

第二は、打面の張力の問題です。本物のドラムセットには、少なくとも3種類の張力を持った打面があります。

ライドシンバルや閉じたハイハット等の、スティックが「非常によくハネ返る」打面、そこそこハネ返るスネアやハイピッチのタム、そして、ほとんどハネ返らない、フロアタム類です。

「自分には非常に優秀…以下略…」な人は別として、普通は、大事なライブの本番で使うセットは、ライブハウスや対バンの物で、自分の好みのチューニング(打面の張力)には、出来ない場合がほとんどではないですか?

練習台や電子ドラムでの練習は、やればやるほど、それらの打面の張力だけに手を慣れさせてしまい、かえって、いろいろな張力に対する「適応力」を衰えさせてしまう危険性が高いのです。

「そんなこと言ったって、家で本物のドラムセットなんか叩けねえよ!」とお怒りの方、まあまあ、落ち着いて(^^;;;

発想を変えて、どんなセッティングに対しても、また、どんな張力の打面に対しても、柔軟に対応できるようになるための練習をしてみたら、どうでしょう?

要するに、なんでもかんでも、目に付いたものをスティックで叩きまくれば良いのです。…いや、冗談抜きで。

バディ・リッチみたいに、バスドラムやドラムイスを叩いたり、シンバルを上からでも下からでも同じように叩ける、本当の意味で「自由自在」なスティックワークを身に付けるためには、そういう練習をするしかないと思います。



そうは言っても、室内で目に付くものを叩きまくったら、大事なものがいっぱい壊れちゃうでしょうし、かといって外でやったら、「危ない人」と思われて警察を呼ばれかねません(笑)。

そこでオススメなのが、「ティッシュの箱」や「雑誌」「枕」「クッション」など、叩いても大丈夫な物を、家の中の色々な場所に置いて叩いてみる方法です。

しかも、置き場所も、あらかじめ決めてしまうのではなく、テキトーに放り投げて、どんなに変な位置になったとしても、そこを移動する練習をするのです。

普段から、そういう事をやっていれば、実際のセットに座った時は、多少セッティングが悪くても、余裕で対応できるでしょう。



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