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★ 惚れた楽器は売っちゃダメ:その1「謎の16インチクラッシュ」


読んでるのは「まだスティックも買ってないよ!」という人かもしれないので、余計なお世話と言われれば、その通りなんですけどね(苦笑)。

僕はそんなに楽器の買い替えが激しい方じゃないと思いますが、それでも、長年ドラムを叩いて来て、僕の前を通りすぎて行った楽器もたくさんあります。

「思ってたのと違った」「飽きてしまった」「お金がなくなった」…いろいろな理由がありますが、ずいぶん経ってから「売るんじゃなかった!」と、後悔することも少なくないんですよね(泣)。

たとえば、20歳前後の頃、友達が石橋楽器新宿店でバイトしてて、よく遊びに行ったんですが、ある日、ドラム売り場の片隅に、古ぼけた16インチのクラッシュシンバルがスタンドにセットしてあるのを見つけたんです。

パッと見は、昭和40年代頃の品じゃないかという感じ。Aジルジャン系のルックスだけど、印刷されたロゴだけじゃなく刻印すら消えてしまっていて、実際のメーカーは分からない状態で、値段はなんと、3000円

念のため、上から下から眺めてみたけど、ヒビ・欠け・割れはありません。それで、「ライブの時の予備くらいにはなるかも。遠くから見りゃAジルに見えるだろうし、一応試奏してみよう」と、叩いてみたら、ことのほか良いんですよ、これが。



見た目通り、Aジル系の素直な音で、そこらのリハスタに置いてあるような「はずれシンバル」よりは、ずっと良い。(*1)

「マジ? これ、悪くないじゃん、使えるよ! オレ買う、すぐ買う!」と、その場で買っちゃいました。バイトの友人が笑顔で揉み手して「ありがとうございました〜」ってね(笑)。

*1 当時(1980年ごろ)のAジルの話。アタリハズレが大きかったんです。最近のAジルはハズレもない代わりに、アタリもない気が…。


家に帰ってから、もう一度よくよく見てみましたが、やはり刻印は見つかりませんでした。元々刻印がないシンバルなのか、刻印が消えるまで磨かれたのか…。

音もルックスもAジル系だけど、メーカー不明の謎のシンバル。これが、本当によく活躍してくれたんです。

録音に、ライブに、リハスタに…どこにでも持って行きました。本当にクセが無くて、いつでも「16インチの歯切れの良いクラッシュ」の役目をしっかり果たしてくれた。

あんなに安かったのに、すごく良かったので、謎のシンバルの出生の秘密を色々推理したりもしました。



もしかして、どこかの学校のブラスバンドかなんかで「合せシンバル」の片われとして使われていたのかも…とか、当時ツノヒロさんとかが「これが良いんですよ」と使っていた、ZANKI(*2)のシンバルなんじゃないか…とか。

この、謎のシンバルは、僕の記憶が確かなら、HELLENの順一(*3)に譲ったはずです。もしまだ(楽器が)健在だったら、買い戻さないまでも、もう一度音を聴いてみたいです。

楽器の良し悪しは値段で決まるものじゃありません。

あの、EW&Fのカッティングの名手、アル・マッケイの愛器だって「65ドル位で買った、シロアリが食った跡を削って塗ったテレキャスター」(*4)なんですから!

どこかの楽器屋で、古ぼけた安いシンバルやドラムを見つけたら、ぜひ試奏してみて下さい。意外な掘り出しものかも知れませんよ!




*2 ZANKI(ザンキ)というメーカーは、今はもうないようですが、見かけはAジルそっくり、音はAジルをもっとロック向けにしたような感じだった記憶があります。


*3 日本ヘヴィメタルシーン創世記の伝説のバンド『HELLEN』のドラマー&リーダー、鈴木順一のこと。



*4 『アース・ウインドアンドファイヤー』のサウスポーのギタリスト、アル・マッケイが、教則ビデオの中で愛用のギターについて語っていた話です。


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その2:TOSCOのライド


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