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★ マイ・フェイバリット・ドラマー:バーナード・パーディ


こちらにも書いていますが、初めてこの人のプレイを聴いた時に、「なんだ、ビートルズ後期のリンゴとそっくりじゃん」と思って、思い切りノーマークにしちゃったのは、僕のドラム人生で最大の失敗だと思ってます。

なぜって、パーディの教則ビデオを見て以来、僕のドラミングに対する価値観は、完全に「グルーヴしなけりゃ意味がない」になってしまったからです。

ここ15年位の間で、一番大きな影響を受けたドラマーは、誰あろう、パーディなんです。もっと早く注目していれば…。

もちろん、『デモ動画』に出してるように、スピードや特殊奏法への興味も残ってますが、ドラマーにとって最も大切なのはグルーヴ=聴いた人の身体が思わず動き出してしまうような、心地良いリズムを作り出す事だと、今は思います。

パーディにハマる以前から、ハービー・メイスンや、ジェフ・ポーカロ、オマー・ハキム等、グルーヴ面で優れたドラマーが好きでしたが、パーディは本当に別格です。

「リズム刻んだだけで、こんなに気持ち良いなら、もう、テクニックなんて、ホントにどうでも良いじゃん」とまで思ったのは、パーディが初めてでしたからね(笑)。

なにしろ、あのジェフ・ポーカロをして「僕はもう、『安らぎの家』のグルーヴを自分のものにできたら死んでもいい。」と言わしめた、そのグルーヴはハンパじゃないです。

冗談抜きで、『安らぎの家』を聴いた事がないという人には、これを読んだ後、すぐにでもレンタル屋に行って、スティーリー・ダンの『Aja』を借りる事をオススメします。

『安らぎの家』の、ずっしりと重く、それでいて鋭いキックとスネア。タイトなのに、浮遊するみたいなハイハットの刻み。心地良く耳をくすぐるゴーストノート。ゆったりとして、かつ、スリリングなハーフタイム・シャッフル。

「…なるほど、これじゃポーカロが『死んでも良い』と言うわけだ…」と、心底納得しましたよ。

それで、パーディの教則ビデオが出た時は、即座に買ったわけです。そしたら、なにやら怪しげな風貌のオヤジ(ぉぃ)が出て来て…

「僕は、世界一録音されたドラマーなんだ。4000枚以上ものアルバムでプレイしてるよ」

…と、いきなりビッグマウス。正直、ちょっと「ガク」って(苦笑)。

でも、次の瞬間、耳に入って来た「ドダッダンッ」ていう、音色とタイミングが、もう、全然違う! ぅおおっ!!

ポーカロの教則でも、何気ない8ビートに、ぶっ飛ばされましたが、パーディには、たった3発でノックアウトですよ(笑)。

それにしても不思議なのは、ガッドやポーカロなんかだと、スネアはもちろん、タムやシンバル単体でも「やっぱ良い音してるよなぁ〜」と思うわけです。

ところが、パーディが教則ビデオで叩いてるセットは、タイコもシンバルも、単体ではちっとも良い音じゃないんです。

それこそ、その辺のスタジオに置いてある、ロクにチューニングもされてないドラムみたいな音で、ソナーのセットだというのが信じられない位、ショボイ音なんです。

ところが、パーディがリズムを叩き始めると、途端に良い音になっちゃう。すごく音楽的な良い音になっちゃう。

それと、このオヤジ(ぉぃ)、叩きながら喋りまくるんです。
「僕は、ルーディメンツでウォーム・アップするんだ」って言って、叩きながら、どんどん説明していく。

そのルーディメンツが、また型破りで、普通の5ストロークは、RRLLRという手順なのに、パーディのは、RRRRLなんですよ(笑)。9ストロークでも、RRRRRRRRL


最初は、これはちょっと…と思っちゃいましたけど、独特なセッティング(右図参照)を含めて、この人は、ホントに固定観念にとらわれない、自由な発想をするんですよね。

「皆、僕のゴーストノートの秘密を知りたいんだろ?」って、ゴーストノートは自分が作ったとか言い出すから、いくらなんでも、それはないだろう…と思うわけです。

ところが、「家でいつものようにセットに座って、こうやって手で叩いていたんだ」って、スネアの上で、指でリズムを刻み出すと、それがもう、見事にグルーヴしている。

そして、「でも、スティックで叩かなくちゃならないから…」って、スティックを持ってからも、クローズド・リムショットの形にした左手の指で、ゴーストのリズムを刻み続ける。こんな事をやる人を、他に見た事がないです!

さらに、ハイハットの間をゴーストで埋めたんじゃなくて、先にスネア上のゴーストノートがあって、それと合う音を探した結果、ハイハットが選ばれたという経緯が明かされて…。

ここまで来ると、「ゴーストノートは自分が作った」っていうのも、あながち、ホラとは言えないなあ…と思うし、「スティックを逆さに持った方が上手くいく」というのを、半信半疑で試してみると、確かに逆さの方が良い感じになるんです。

そして、いよいよ『パーディ・シャッフル』と、自分の名前を付けちゃった、ハーフタイム・シャッフルの実演となるわけですが…。

これに関してはもう、本当に達人です。フレーズは歌いまくり、リズムはウネリまくり、思い切り小音量になっても、強力なグルーヴは変わらない…。こんな凄いシャッフル、他の誰も叩けないですよ。

まあ、本人自ら「技術的に常に正確であろうとすると、自由を奪われてしまう事になる。僕は正確さより、自由の方を選ぶ」と言ってるように、時々、イイカゲンな瞬間はあります。2拍4拍のタイミングが、明らかに遅れる場面すらあります。

でも、ここまで「グルーヴの威力」を見せつけられると、もう、少々のミスなんて、どうでも良いじゃん!と思ってしまうんですよ(苦笑)。

それに、わずか1〜2cmしかスティックを振らないハイハットの刻みや、シンバルのフチとカップをゆっくり往復しながら、音色とダイナミクスを「グラデーション」みたいに変える手法とか、細かい部分を見て行くと、やっぱり上手いですよ。



↓バーナード・パーディのセット↓
(教則ビデオ『マスター・オブ・ザ・グルーヴ・ドラミング』時)

bp_set.gif
ハイハット側のシンバルをメインのライド兼クラッシュとして使用。チャイナシンバルは上下逆にセットされていて、2枚目のライドとしても使われる。(ベルカップも使う)
 タムは大小の順番が通常とは逆になっているのが特徴。また、フロアタムだけミュートしており、タムに比べてサスティンが短い。


今や、国内外を問わず「グルーヴ」を売りにする若いバンドやドラマーが沢山出て来てますし、ヒップホップの流れからも、グルーヴという言葉は使われまくってます。

でも、パーディのグルーヴを聴いた事がないなら、それは、グルーヴの世界の半分しか知らないようなものです。

まずは、スティーリー・ダンの『Aja』で『安らぎの家』を聴いて下さい。ついでに、ガッドの名演も聴けますし(笑)。

そのあとはもう、本人が言ってる通り、パーディが参加している名盤は、それこそ何千枚もありますので…。

DRUMMERWORLDこちらのページでパーディの演奏動画を見る事が出来ます。お忙しい方は、Half Time Shuffle Sessionだけでも。

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