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★ 誤解・混同されている、モーラー奏法とグラッドストーン奏法の「違い」と「見分け方」
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第2章:「典型的」なモーラー奏法の、動きの特徴


それでは、典型的なモーラー奏法を見て頂く事にしましょう。

「人選が変だ」と言う人もいるでしょうが、「典型的な動きが“分かりやすくハッキリ映っている”動画」であることを優先して選んだ結果です。他意はありません。

まずは、ヒジの動きに注目して下さい。ヒジの開閉や、回転するような動きが、モーラー第一の特徴です。

次は、手首に注目して下さい。ストロークの際に手首が上下に曲がる量が少なく、前腕の回内、回外を主に使うのが、モーラー第二の特徴です。

★前腕の「回内」と「回外」について
 人間は前腕を回転させて、手のひらを上に向けたり下に向けたり出来ます。
 前腕を内側に回して、手のひらを下に向ける動きが回内。外側に回して、手のひらを上に向ける動きが回外です。


☆ご存知、スティーブ・ガッド。右腕のヒジと手首に注目です


いかがですか? ヒジの動きに関しては、良く分かったと思いますが、手首が上下にあまり動かないという所も、非常に大事なポイントなので、見逃さないで下さいね。(*1)

他にも、「指を開いたり閉じたりする動きが少なく、どちらかといえば“握りっぱなし”に見える」とか、「音量のわりにスティックの振り幅が小さい」という特徴があります。

では、あと二人、典型的なモーラーの使い手を見て下さい。




*1 実は、この点こそが「手首でストローク」する普通の奏法と最も違う部分です(※モーラーでも、グラッドストーンでも、手首は「受動的」にしか使いません)


☆フィリー・ジョー・ジョーンズ。腕の使い方やスティックの軌道がバディ・リッチに似ています。


☆なんと、この人もモーラー使いでした。特に右腕は超典型的です


さて、ここまで見て「これがモーラーなの? たいして速くねえじゃん」とか思った方がいたら、「モーラー=スピード」という考え方は、そろそろ捨てて下さい(^^;;;

もちろん、ハイレベルにマスターしたモーラーなら、グラッドストーン程ではなくても充分以上な速度が出せますが、「モーラーだから速い」というのは、勘違いですので。

この勘違いが起きた原因の一つは、おそらく…

モーラー奏法とかいうのがあるらしい」(問題なし)
         ↓
バディ・リッチに代表される奏法らしい」(ほぼ正しい)
         ↓
バディ・リッチといえばスピードが凄い」(非常に正しい)
         ↓
モーラー奏法はスピードが凄い(それは違う!)

…という、バディ・リッチに関する、間違った連想でしょう。

そして、もう一つの大きな原因は「ジム・チェイピンの奏法こそが、モーラー」だと思ってしまった事です。

VHSでもDVDでも、持っている人は、ぜひ確認して欲しいのですが、ジム・チェイピンの、あの有名な教則ビデオの正式な題名は『スピード・パワー・コントロール・持久力』です。

題名のどこにも『モーラー』という言葉は入っていません。

それどころか、ビデオケースの表面にも、背表紙にも、裏面にも、一切『モーラー』という言葉はないのです。
(※カタカナではなく、英語でも入ってませんので、念のため(^^;)

そして、ジム・チェイピンはビデオの中で、モーラー奏法だけでなく、ジェイ・バーンズモアと、ジョージ・ローレンス・ストーンから教わった奏法も紹介しているのです。

ジョージ・ローレンス・ストーンは、ビリー・グラッドストーンと共にグラッドストーン奏法を確立した人じゃないですか!

つまり、ジム・チェイピンの奏法は、単なるモーラー奏法ではなく、グラッドストーン奏法の要素も含んだ『チェイピン式モダン・モーラー』とでも言うものだったという事です。

さらに困った事に、あのビデオの中で、ジム・チェイピンは、モーラー奏法の説明をしながら、速い領域になると、何も言わずにグラッドストーン奏法を混ぜてしまっています。

モーラー=スピードという誤解が生じたのは、バディ・リッチやジム・チェイピンの「グラッドストーンの要素が混じった」奏法を「これぞモーラー」だと思ってしまったからだったのです。

その認識では、より、モーラー本来の形に近い奏法を見ても「速くないからモーラーじゃない」とか、グラッドストーン奏法を見て「(速いから)モーラーだ!」とか思ってしまうのも当然です。

その延長線上で、デスメタルとかグラインドコア等のドラマー達が、異常な速度で演奏しているのを見て「モーラー奏法だ!」と思ってしまっても、全く不思議はないでしょう。

ついには、「デスメタルをやりたいからモーラーを習おう!」という人までが出て来てしまうという現状に繋がっているわけです。

しかし、本来のモーラー奏法は、スピード面より、パワーやアクセント表現、そして、多彩な音色変化の面に、優位性があります。

そこで今度は、モーラー奏法を、主に「パワー」や「ダイナミクスと音色変化(による表現)」の方向に利用しているドラマー達を紹介していきます。


★典型的モーラー奏法のドラマー達
 サンフォード・モーラーの直弟子だったのは、ジーン・クルーパ、ジョー・モレロですが、ジョー・モレロは、グラッドストーン要素の方が強い(7:3位)です。
 また、パパ・ジョー・ジョーンズ、レイ・ボデューク等を筆頭に、スイング、ビッグバンド時代までのドラマー達の大部分は、基本奏法がモーラー系です。
 意外な所では、ベンチャーズのメル・テイラーや、カレン・カーペンター、さらには、故・白木秀雄も若い頃の動画を見ると「お手本」のような見事なモーラーでした
(※動画や文中で紹介した人は除外)


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