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★ ビートルズのドラム疑惑について。その2:怪しいと思う理由
※検索等でいらした方に。この文章は<3部に分かれている長文の一部>です。
 途中だけ読むと文意を誤解される可能性がありますので、ご面倒でも最初から読まれる事をオススメします。


本題とは関係ないですが、まず最初にお断りしておきます。
僕は「ビートルズ・ファン」ではありますが、けっして「マニア」ではないということをです。

なぜなら、「海賊盤」や「グッズ」を集めたりする事に対して、全く興味がないからです。「リンゴが使ったのと同じ楽器だから欲しい」…とも全然思わないですしね。

だから、もしかすると「マニア」の域まで極めた方々にとっては「??」な意見も多々あるのでないかと思いますが、その点はどうぞ、寛大なご対応をお願いしたいのです。

とはいえ、僕がここで書こうとしている事は、けっしてリンゴ・スターや、バーナード・パーディに対する悪口ではないですし、そうとって欲しくありません。

二人共、いまだに大好きな、そして、大きな影響を受けたドラマーだからです。

ただ、しいて言うなら、僕が感銘を受けた「ビートルズでのリンゴのプレイ」には、実は「パーディが叩いている可能性がかなり高い曲が多い」のも、事実ですが…。

さあ、前置きはこのぐらいで、早速、本題に入りましょう!


仮説:パーディ=「やけにタイト」なリンゴ


『なんだ、リンゴそっくりじゃん…』これは僕が18才の頃、初めてバーナード・パーディのプレイをラジオで聴いた時(残念ながら楽曲は失念)の正直な感想です。


もう少し詳しく書くならレイドバックした感じは、ほとんどビートルズ後期のリンゴにそっくりだな。しいて言えば、リンゴよりも基本的にタイトかな?(*1)」というところ。

バーナード・パーディといえば「ソウル・ファンク・R&B系の大御所」という風に認識し、もっと「黒っぽい」感じのプレイ(*2)を想像していたので、非常に意外でした。

そして、この第一印象のために、僕のパーディに対する興味は希薄になってしまい、ずいぶん後になって、ジェフ・ポーカロが「『安らぎの家』のグルーヴ(*3)をモノに出来たら死んでも良い」と発言していたと知って、スティーリー・ダンの『Aja』を買うまで「ノーマーク」なドラマーになってました(苦笑)。




*1 パーディも、かなりルーズな時(教則ビデオ等)がありますが、基本的にはタイト(スティーリー・ダン等)ですよね。


*2 オマー・ハキムとか、ハービー・メイソンとかの感じ(シャープで躍動的な感じ)を想像してました。


*3 “パーディ・シャッフル”に関しては、本当にスゴイと思います。真似してみて思い知りました(苦笑)。


ところで、ここまでの意見を「?」としか思えない方は、もしかして、後期のビートルズをあまり聴いてなかったりしませんか?

確かに、「初期」ビートルズのリンゴと『スティーリー・ダン』等のパーディのプレイを比べたら全く違いますが、後期ビートルズの楽曲には、パーディが叩いていると言われても不思議じゃないドラムプレイが実際にあるんです。

ですから、実は僕にとって「実はビートルズの21曲は僕が叩いているんだ」というパーディの言葉は、まったく驚くに値しないどころか、むしろ「そうだったのか!」と膝を叩いたぐらいだったんです。

なぜって、『ホワイトアルバム』以降の後期ビートルズを聴いていると「う〜ん、この曲のドラム、リンゴにしては、やけにタイトだな」と思うことが、たびたびあったからです。

もし、それらが「実はパーディのプレイ」だったとしたら、僕がパーディを聴いて「リンゴそっくりだけど、リンゴよりタイト」だと思っても、何の不思議もないじゃないですか!

しかも、『ホワイト〜』録音中にリンゴが1度脱退しかけたのは事実ですし、後期の録音は初期と違って「多重録音」ですから「ドラムを差し替える」事も簡単に出来るわけです。

具体的には、『序章』でも3曲を挙げましたが、中でも一番分かりやすい例は『アイ・ミー・マイン』だと思います。

CD等で、アルバム『レット・イット・ビー』(同『ネイキッド』や、『アンソロジー3』でも構いません)を持っている方は、ぜひ聴いてみて下さい。良いヘッドホンで聴くことをオススメします)


ハイハットのクローズも、オープンの音も、やけにカッチリしていて、リンゴらしくない演奏だと思いませんか? それに、中間部のシャッフルになる所なんか、ハーフタイムじゃないし、ゴーストノートも無いけど、フィルインの感じも含めてパーディっぽいと言えなくもないのでは?(*4)

また、後で詳しく書きますが、パーディが教則ビデオで叩いているドラムは、スネアやキックはともかく、タム類のサウンドが『レット・イット・ビー』や『アビー・ロード』の頃のリンゴの感じとかなり近いのです。

しかも、ビデオで紹介された「タムを左右逆に配置する」パーディの変則的なドラム・セッティングなら、“ファニー・フィル”と呼ばれた、左利きのリンゴ独特の手順も再現しやすいことも分かりました。






*4 ちなみに、僕よりパーディに詳しい知り合い(プロドラマー)に『アイ・ミー・マイン』を聴いてもらったところ、「あ〜、これはパーディっぽいですねぇ。パーディお得意のフレーズがあちらこちらにありますよ」と言われました。


そして、パーディは問題のインタビューの中で「僕は、他のドラマーのプレイを真似するのが上手かったから、(差し替え役として)重宝がられていた」なんてことも言ってるんです。

となると、ビートルズの録音に、「リンゴの真似をした」パーディのプレイが入っていたとしても、「リンゴにしてはタイトだな」程度の違和感しかなくても不思議はないと思いませんか?

う〜ん、怪しい。実に怪しいです。

…あ、でも…ちょっと待って下さい。これだけで「疑惑」が「事実」だったと決めつけるのは、ちょっと早計ですね。

もう一つの可能性が無いとは言えないですからね。

それは、「やけにタイト」だったりするために、実はパーディのプレイなのではないかと思ったのも、やはり「リンゴ本人のプレイ」だった…という可能性です。

たとえば、ここで例に出した『アイ・ミー・マイン』もそうですが、アルバム『レット・イット・ビー』と『アビー・ロード』に収録されている楽曲の一部は、いわゆる『ゲットバック・セッション』として映画『レット・イット・ビー』に演奏映像が残っています。

もし、リンゴ・スターが、レコードと「ほぼ同じフレーズ」を「ほぼ同じ技術レベル」で演奏している映像が残っていて、映像と音声に矛盾が無ければ、少なくとも、最終的には差し替えられたにせよ、リンゴも「差し替えられたプレイと、それほど差の無いプレイ」が出来ていたということになります。

って、あれれ? リンゴ本人が「差し替えられたプレイと、それほど差の無いプレイ」が出来ていたなら、差し替える必要なんか全然ないですよね…。

だって、リンゴって、そもそも、そんなに「タイトで正確」が売りなドラマーじゃなくて、どちらかといえば「ヘタウマ」系だし、それが魅力だったりするじゃないですか。

←の文章が分かりにくい方に
【疑惑の構造、その解説】
発端:パーディの発言
ビートルズの21曲は僕が叩いた。
ウソならば↓ 本当ならば↓
単なるパーディの「ほら話」なのではないかと思われる。
パーディは「ビッグマウス」としても有名なので)
パーディ、調子に乗りすぎたか?もちろんリンゴは無罪
アンディ・ホワイトが叩いた『ラブ・ミー・ドゥ』や、ポールが叩いている曲もあるので可能性が皆無とは言えない。
問題は「どの曲」がパーディのプレイなのかという事
ビートルズ後期に録音された「やけにタイトなリンゴ」のプレイが、パーディのプレイと似ている印象がある。具体例は『サムシング』『アイ・ミー・マイン』『ユー・ネバー・ギブ・ミー・ユア・マネー』等。
※仮説:『ホワイトアルバム』録音中にリンゴが脱退しかけたことがあり、その際の穴埋めとしてパーディが呼ばれ、以後の録音に関わるようになったのではないか? 4人揃っての作業が少なくなり『多重録音』が当たり前になった後期なら、リンゴ本人がドラムを録音した後にドラムだけを差し替えることも可能
パーディのチューニング、セッティングや、本人の発言から「リンゴの真似」をする事は可能だと判断できるし、『アイ・ミー・マイン』などは、パーディに詳しいプロドラマーが聴いても「パーディっぽい」と感じるドラミングであるため、
<「リンゴ本人が叩いている」証拠>が無ければ、疑惑は限りなく黒に近いことになる。証拠はあるのか?↓
「リンゴ本人が叩いている証拠」の一つは、映画『レット・イット・ビー』の映像と音声にある。それ以外は、リンゴ本人のプレイを詳細に分析して「リンゴ独自のプレイ」を洗い出す他に方法はないと思われる。 …というわけで次回に続く(笑)


それに、普通だったら絶対にOKが出ないような、酷いタイムのプレイが、過去のビートルズのアルバムに収録されて発売されているという事実があります。(*5)

…となると…。 …う〜ん、分からなくなって来ました。

まずは、リンゴのドラミングに関して、映画『レット・イット・ビー』の映像を中心に検証する必要がありますね。

ついでに、今回のパーディの話が出る以前から「リンゴじゃないのでは?」といわれて来た『アイ・フィール・ファイン』のドラムについても調べてみましょう…。




*5 『ラバーソウル』の『ユー・ウォント・シー・ミー』とか。テンポのユレが大きい上に、曲が進むにつれて、どんどん遅くなっていきます。普通はNGでしょう。
歌い出しの4小節は「8秒07」なのに、エンディング付近では「8秒56」と、約6%も遅くなってしまってます。)
※逆に言えば、「リンゴは1曲も叩いていない」というパーディの発言は、この曲の存在によっても否定できますね。


1.疑惑の経緯
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3.ドラマー・リンゴを検証


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